2016年4月1日金曜日

はじめまして

2016年4月1日付で明海大学外国語学部長、同大学大学院応用言語学研究科長に就くことになりました。これまでの副学長(大学院担当)、複言語・複文化(P&P)教育センター長もそのまま務めますので、本来の教授職と併せれば、5つの職を兼務することになります。

考えるまでもなく、この5つをまっとうに兼務することはまず不可能です。にもかかわらず、理事長・学長からの就任要請をお受けしたのは明海大学の人文系学部と大学院の改革を断行し、その再生を図れという、強い要請意図を感じ取ったからです。そのとき、わたくしは、その改革が成功すれば、それは明海大学の枠を超え、一部、「スーパーグローバル大学」級の大学を除いた、人文系大学の再生のモデルケースとなるであろうという野望を抱いたことも正直に告白しておきましょう。

その改革の根本にあるものはなにかと問われれば、それは本道への回帰だということになります。少子化傾向の中、入学者の確保に汲々とする人文系大学・学部の多くは就職率の向上やそれに連なるTOEIC等の英語力検定試験のスコアの向上のみに力を注いでいます。しかし、いま必要なのはそうした対処療法的な対策に終始するのではなく、中長期的展望に立って大学・学部の目指すところを明確に定め、それに向かっての工程を明らかにすることであるとわたくしは考えます。

わが外国語学部はその目指すところを、複言語・複文化主義に基づき、真の意味でのグローバル精神を持った人間を育成することと定め、その目標に向かって、さまざまな試みを行っていきます。

まずは語学教育。明海大学では昨年秋、複言語・複文化(P&P)教育センターを開設しました。外国語学部はP&P教育センターと連携して、母語の力に根ざした外国語教育を実現させることを目指します。具体的には、学生諸君に対して、母語を対象にことばを客観的対象として認識し、その認識を活かして、母語の効果的運用とともに、外国語の効率的学習できるよう支援を行います。外国語としては、ある程度、きちんとした運用能力が身につくことを目指す外国語のほかに、その基本的仕組みと基礎的な表現が身につくことを目指す外国語の2つを学びます。もちろん、希望すれば、それ以外の外国語を学ぶこともできるようなカリキュラムも編んであります。

上記の考えに基づき、語学科目については、それぞれの言語を母語とする教員(ネイティブ・スピーカー)と日本人教員による授業を効果的に組み合わせた授業編成がなされています。

また、人間がことばを手に入れ、さらには、文字を作り出したことにより、文化の形成と伝播・発展が可能となりました。その意味で、ことばと文化は切っても切り離せない関係にあります。外国語学部では、ここでもP&P教育センターと連携し、さまざまな文化的背景を持った教員を配して、世界の諸文化について学び、考えることができるよう、工夫を凝らしています

このような機会を活用することによって、学生諸君は言語と文化の相対性の認識というグローバル精神の中核を自然に身につけることができます。また、上に略述したことばの学びによって、付け焼刃ではない、一生ものの、母語や外国語の運用能力が身につきます。目先のことだけに目を奪われるのではなく、自信につながる、本物の力を身につけるための環境を整えていきたいと考えています。

こうした試みは簡単には成功しません。試行錯誤を繰り返しながら、徐々に目指すところに近づいていく。ただし、ある一定の流れが形成されれば、そこから先は勢いというものが後押しをしてくれるでしょう。そういう状態に達することができるよう、学部長任期の2年間の間にできるだけのことをしたいと考えています。みなさんのご支援をお願いいたします。

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このブログは主として明海大学外国語学部・大学院応用言語学研究科コミュニティ(学生・院生、教職員、卒業生・修了生)に対しての情報発信のために始めるものですが、明海大学の他学部・他研究科のみなさんのご愛読も歓迎いたします。さらに、単に明海大学内部だけでなく、このブログが広く読まれるようになることを秘かに期待しています。

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「日誌」といっても毎日更新するということではありません。その時々に感じたこと、思ったこと、話したことなどを綴ります。